勝負とは残酷である。

特に麻雀のような運の要素が強いゲームで負けるということは

自分の大切にしている何かを奪われてしまう感覚。

大袈裟に聞こえるかもしれないが、

囲碁や将棋やスポーツと違って努力だけでは難しい『運量』というものを査定された気分になる。

 

彼との勝負のルールはこうだ。

同卓した時の着順で勝負。

トップをとれば4点 2着3点 3着2点 ラス1点

これを10半荘でトータル得点が高い方が勝ち。

トータル得点が同点の場合は11半荘めで決着。

この10半荘を1節とし、10節で終了というルールで決定した。

もし10節で5対5なら次の1節で終了という決めにした。

彼に1節10000Gじゃあれだから1000Gにする?

と聞いたところ、『徳山さんが可哀想だからそれでもいい』

『徳山さんが可哀想だから?』

自分より自信過剰な人間に会うのも珍しい・・・ww

湯気が出そうな頭をかくしながらボソッと言った。

10000G即金な。

 

彼に勝ってやる!

負けましたと言わせてやる!

私は麻雀などまったく見えてなく、彼しか見えていなかった。

今思えば、すでにあの時点で敗者であった。

 

6節まで終わり彼の言うように私は1度も勝てなかった。

5ポイント差10ポイント差・・・とにかく負け続けた。

7節の10半荘め私は彼に1ポイント差をつけてオーラスを迎えていた。

私は2着、彼はラス。

その差は20500点。

ドラが白で3着目の人がポンをしている。

トップ者がラス親で私とは2000点差。

彼は仕掛けもリーチもしていない12巡目。

私は369萬で役無し赤1をテンパイ。

彼に満貫放銃しても、3着目ドラポンには倍満まで、親には跳満までがセーフティーである。

私はもちろんあがりトップの3面チャンをリーチした。

すると彼が追っかけのツモ切りリーチ・・・

この時の私の気持ちは文章では書ききれない。

どんなテンパイ?何点?

しまった!彼が倍満ツモなら私のリーチ棒で変わってしまう!

私の一発目のツモ・・・

盲牌

萬子だ・・・

寒気が走った。

五萬である。

目視したら赤五萬だ。

私は確信した。

あたりだ・・・

強打ではなく、諦めたように私はその日1番力の無い打牌で赤五萬を河に置いた。

 

『ロン』

彼の手役はリーチ一発 チートイ タンヤオ 赤の跳満だった。

すべての条件をクリアした彼にそんなリーチあるか!

そんな負け惜しみを言う気力も残っておらず、私は点棒を投げつけたい気持ちを抑え彼に点棒を渡した。

1発じゃなければ? 赤じゃなければ?

そんなことは関係ない。

今ならわかる。

 

勝負とは残酷である。

特に麻雀のような運の要素が強いゲームで負けるということは

自分の大切にしている何かを奪われてしまう感覚。

大袈裟に聞こえるかもしれないが、

囲碁や将棋やスポーツと違って努力だけでは難しい『運量』というものを査定された気分になる。

ただし、強くなりたいという気持ちが私の右手に溢れていた。

 

今でも忘れられない 赤5萬の感触。

パラドックス

受け入れられないような現実を受け入れる。

 

私は7節で彼に言った。

『麻雀は運ゲーだよ』

『でもそれ以上に技術が必要だ』

『俺の負け』

『俺に麻雀を教えてくれ』

 

彼は今まで見せたことのない笑顔で俺に言った。

『いいよ』

『じゃぁ今日の俺の勝ち分10000Gで一緒に焼肉行ってくれたら』

その日から彼とは親友になり、後に一緒にゴースタで働くことに。

 

そして彼をクビにすることになる。

それは麻雀パラドックス4局のお話。。

 

 

 

 

 

 

 

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