麻雀パラドックス28局

麻雀に於いて

悔しい思い、自分が下手くそだとういう思いから目を背けていたら多分

そこがその人の麻雀の到達点であろう。

限界という言葉を使わないのは、到達点はまだ伸びしろあるという願いからだ。

 

本日3月16日はアミューズの記念日でもある。

今日から新たな気持ちで麻雀が打てる!

そんな悔しい思いを昨日することが出来た。

 

昨日新規で来たそのお客様は、極力失礼のないように書けば

第一印象『普通』であった。

もっと言うと麻雀に対しての溢れんばかりの情熱はさほど感じなかった。

もちろん見た目での話である。

このあと数分後に私の期待は嬉しいほどに外れるのだが・・・

 

私の麻雀における、この人強い!と感じる第一条件は

押してるのか、降りてるのか分からないという事である。

わかりやすく言うと癖がないのだ。

安全牌を切るときも、危険牌を切る時も一定のリズムで打てる事である。

強打をしてくれる人は1番楽だ。

私、今押してます!と教えてくれるのだから。

長考する人も同じである。

降りたのか、廻ったのか、押すと決めたのか、その何秒間で何かを決めてるという情報が入ってくる。

 

その人は3半荘一度も乱れることのないリズムで危険牌を静かに河に放っていた。

最後まで押すかと思えば一転。

ドラでも赤でもない牌で迷うことなく降りている。

 

彼の中では準備というシステムが完成しているのであろう。

なので2件リーチ、3件リーチになろうが関係ない。

というより河を見る力が誰よりも早いのであろう。

これは聴牌してリーチをかけるかどうか、カンチャンで受けるか、シャボで受けるか

はたまた、安牌の字牌を残しておくか先に切るか、リャンカンをどちらでリーチしようかetc・・・

それによる少考、長考は日常茶飯事のアミューズの中では間違いなくトップクラスの打ち手だ。

そうは言っても私を含めたアミューズの麻雀打ちが劣っているという話ではなく、

私の中で久々に出会った苦手な逸材であっただけの話である。

以前スタッフにいた徳Mくんはその当時、点棒持たせたら彼から奪うことは至難であった。

私は彼をベタ降りの神様と呼んでいたがw

はたまた、パンチ力はあれど守備力が弱い人。

それぞれストロングポイントとウィークポイントがある場合がほとんどだが、

彼はそのどちらにも属していない。

あえて言うならシステマチック雀士。

でも、機械的という意味では無く、迷いがない熱のある雀士であった。

私は1半荘彼と同卓したが、トップの彼をどうしても捲りたい思いが強く

親番で18000点を見逃し、もちろん悪い方に転がり終了という結果で終わった。

 

久しぶりに出会った私の1番苦手な相手に昨日も結果を出せずに終了となった。

悔しい思いが1番であったが、理不尽が多い麻雀の中で納得の出来る敗北であった。

終わった後の爽快感たるやw

もっと強くなりたい意欲が増しに増した。

自分のダメなところを挙げればキリがないが、はっきりと分かったことが1つある。

麻雀が強くなりたい。

そんなシンプルなことだが、

今日4周年を迎えるこの日に、私に新しい麻雀欲をくれたご新規様に感謝せねばなるまい。

 

もし、また同卓することがあり、

少しのわがままを言わせてもらえれば心底麻雀に没頭したい。

たとえ1半荘だけでも。

麻雀パラドックス29局へ続く。

 

麻雀パラドックス29局

麻雀に大切だと思っていることの1つに柔軟さというものがある。

柔軟さとは対応力と言っても良い。

牌効率にとらわれず場況に応じた打牌選択が出来る事が柔軟さではないだろうか。

南3局 現在3着目だが満貫でトップになれる。

2000点未満のプレイヤーもいるためツモか直撃ならトップで終了という場況である。

10巡目の私の手牌

ドラが二筒:麻雀王国

ツモ三筒:麻雀王国でこの牌姿

二筒:麻雀王国三筒:麻雀王国五筒赤:麻雀王国六筒:麻雀王国七筒:麻雀王国五萬赤:麻雀王国五萬:麻雀王国五萬:麻雀王国六萬:麻雀王国七萬:麻雀王国五索:麻雀王国七索:麻雀王国七索:麻雀王国八索:麻雀王国

1枚切るわけだが・・・・

ドラ表示も含め一筒:麻雀王国が3枚飛んでる状況。

上家、下家ともに1枚ずつ切っている。
九索:麻雀王国が1枚切れで後は場0である。

牌効率的にも打点的にも三色を拒否する打五索:麻雀王国で問題なさそうだが

ネックなのはドラまたぎの一筒:麻雀王国が3枚飛んでるということだ。

打牌選択は五索:麻雀王国七索:麻雀王国八索:麻雀王国

まず私の中で待ち牌にしたい、そして1番枚数が見えていない牌は六索:麻雀王国九索:麻雀王国である。

その理由から打八索:麻雀王国は消去した。

仮に五索:麻雀王国のメリットは変則3面チャンの形がキープ出来るため1番オーソドックスな完全一向聴である。

もし四筒:麻雀王国が上家から出ればチーしての変則3面チャンで受けることが出来る優秀な打牌である。

ただし、変則3面チャンが先に埋まった場合は薄く出にくい一筒:麻雀王国四筒:麻雀王国でリーチをかける選択になりそうな感じ。

次に打七索:麻雀王国のメリットとしては完全一向聴を拒否する代わりに

一筒:麻雀王国六索:麻雀王国のチーに対応出来るところだ。
一筒:麻雀王国四筒:麻雀王国がネックと考えている以上もちろん四筒:麻雀王国もチーして

カン六索:麻雀王国でも良い。

私が選択したのは打七索:麻雀王国

この瞬間は柔軟な1打だと考えてはいたが・・・

今考えれば打五索:麻雀王国とし順目によっては六索:麻雀王国チーの四筒:麻雀王国片あがりなんてのも柔軟だったと振り返る。

数巡後に裏目のツモ八萬:麻雀王国

この形二筒:麻雀王国三筒:麻雀王国五筒赤:麻雀王国六筒:麻雀王国七筒:麻雀王国五萬赤:麻雀王国五萬:麻雀王国五萬:麻雀王国六萬:麻雀王国七萬:麻雀王国八萬:麻雀王国五索:麻雀王国七索:麻雀王国八索:麻雀王国

ここから私はまだ一筒:麻雀王国のチーと満貫という呪文が頭から拭えず、打八索:麻雀王国とする。

これはヒドイ。

柔軟どころか傲慢な1打だ。
六索:麻雀王国九索:麻雀王国が良い待ちと考えていたのはどこにいった?

ツモ八萬:麻雀王国なら裏目ではあるが二筒:麻雀王国三筒:麻雀王国の重なりでリーチが打てる。

あがれない場所からの九索:麻雀王国は点棒状況的にも見逃しても良いだろう。

この局の結果は私が五筒:麻雀王国をツモ切りチートイのダマ聴牌に放銃となった。

五索:麻雀王国としておけば二筒:麻雀王国三筒:麻雀王国五筒赤:麻雀王国五筒:麻雀王国六筒:麻雀王国七筒:麻雀王国五萬赤:麻雀王国五萬:麻雀王国五萬:麻雀王国六萬:麻雀王国七萬:麻雀王国八萬:麻雀王国七索:麻雀王国八索:麻雀王国

ここでこそ柔軟さが問われる1打になってあであろう。

ドラの二筒:麻雀王国勝負して想像もつかなかった678の三色狙うも良し、

六筒:麻雀王国七筒:麻雀王国切りなんてのもある。

いずれにしても放銃を回避する可能性があった訳だ。

そう考えると私のヒドイ八索:麻雀王国をしっかり咎めてくれる麻雀は本当に奥が深い。

 

柔軟さとは対応力の他に視野を広くし自分の柔軟さに自惚れない事である。

幾度となく訪れる選択肢を見逃さないことが大切なんだと実感する事が出来た。

 

何度も書いてきたが気付きを怠った時点で雀力はストップするのだ。

麻雀に関して言えば、自分の麻雀の良い所よりも、悪い所を探す方が大切なのである。

なぜなら自分のミスに気付けるのは相手ではなく自分しかいないのだからだ。

私がひどい牌を打っても、どんな形から打ったのかは誰も分からない。

だからこそ自分へのジャッジは厳しくなくてはならいのだ。

今日も自分の麻雀から目を逸らさず悪いところを探そう!

麻雀パラドックス30局へ続く。

 

麻雀パラドックス30局

ロン!32000点

ロン!32000点

 

彼のアミューズでのデビュー戦は国士無双を2回放銃するという

私の記憶にもないようなほろ苦いデビュー戦となった。

彼の名は鈴木。

実名で書かせてもらうのは彼への敬意と思ってもらえれば幸いだ。

 

アミューズへの初来店は2013年8月3日 約3年前である。

岩Dさんの紹介で遊びに来てもらい北海道への転勤からこちらへ戻ってきたばかりだとの話。

それならば是非常連様へとなってもらわねば!

そんな意気込みでお迎えしたが初日の戦績は

ラス ラス ラス 3着 ラス ラス ラス トップ 3着

この日役満を2回放銃・・・

これはもう来てくれないかもしれないな~(つд⊂)

 

しかし一週間後の8月10日 再度来店してくれた!

今日は頑張って欲しいな~

私はそんな気持ちで見届けていた・・・

この日の戦績は

ラス ラス 3着 ラス ラス ラス ラス ラス 2着 3着 ラス 3着

12半荘 トップ無し。

ラスが8回。。。。

 

もう無理~(つд⊂)

200%無理~(つд⊂)

 

 

しかし3日後来店。

そして彼は後に役満王と呼ばれ、アミューズ雀王杯

ただ一人2回連続決勝進出。

第1回 準優勝。

第2回 優勝したのである。

 

鈴木さんの麻雀を一言で言うなら『信』である。

私もたくさんの人と対局してきたが9割以上の人は『理』で打つ。

しかし彼は信じるという事を大切にする麻雀なのだ。

以前私に『僕はこういう麻雀しか打てないんですよ』

後ろで見ていた私にそう言ってきたことを思い出す。

さすがにそれはないでしょうって打牌選択は日常茶飯事w

私はそういう打ち手が1番苦手だ。

理で打つ人の頭の中は覗けても、信で打つ人の頭は覗けない。

私の麻雀戦術の中で最も大切にしているのは人の心理を読むということだ。

場況-打牌選択=心理それが私の導き出した方程式だが

彼にはそれが通用しない。

 

成績だけをみれば奮っていないのは事実だが、

なぜ彼が役満王と呼ばれるようになったのか?

そして雀王杯で2回連続決勝卓進出し優勝出来たのか?

 

麻雀のスタイルは様々だ。

常に皆が正しい選択をしていると思いながら麻雀を打つ。

軽い麻雀も、重い麻雀も一緒だ。

自分が正しいという思いの中で麻雀を打ち、

勝った時はやっぱり正しかった!

負けた時は運がなかった~

負けた理由を誰かの何かのせいにする事が多い。

本当は逆なのに・・・

 

目に見えない運というものに対して以前少し書いたが

彼はそれを理解しているような気がしてならない。

もしかしたら私よりもその運という目に見えないものに対して気を使っているかもしれない。

 

成績が技術や戦術なのは間違いない。

よって技術や戦術で言えば私の方が上回ってると自負しているが・・・

もっと大きなもの

『運』というものに関して言えばどうだろう?

負けてるとは言いたくはないが、成績のように上回っていると自信を持って言えないのは確かである。

それは誰よりも役満を成就させ、大会のような短期決戦でその存在感を保っているからだ。

偶然やたまたまでは無く、

彼は確かに持っている。

麻雀に愛される何かを。

 

麻雀に愛されるってなんだよ~?

そんな疑問をもつ人には分からなくて結構。

その方が助かる。

理で打ってくれた方がどれだけ助かるかw

 

私自身このコラムで麻雀の損得の話を何度も書いてはいるが

麻雀の本質はそこにはない事を知っている。

そして、それを決して押し付けてはいけないという事も学んだつもりだ。

相手はプログラムされたロボットでは無く、十人十色の人間だ。

いろいろな思考や、ゴールがあるから面白い。

しかしそこに成績を残したいという人に対してのコラムであって

麻雀=成績ではない。

 

私は彼の人間性が好きだ。

好きといより尊敬している。

役満を2回放銃しても楽しそうに振る舞い、

何があっても愚痴を飲み込む姿勢に。

今現在もこれからもそうであって欲しいと願っている。

 

彼の勝ち負けの基準は人では無く自分に向いている。

そこが多分、私と彼との大きな接点であろう。

 

イライラするような事が起きてしまった時に、自分の弱さを痛感する人であって欲しい。

私もそこを目指している。

 

そんな彼の3年間の振る舞いが今私にこれを書かせているのだ。

6月にアメリカに転勤になってしまう彼に私がすべき事は2つ。

何年後かに帰ってこれる場所を守っておくこと。

戻ってきたその日にもう1度彼から役満をアガれるよう腕を磨いておくこと。

 

あと何回同卓出来るか分かりませんが、本日より鈴木さんと同卓する時は

記録よりも記憶に残るような麻雀を心掛ける事を約束します。

 

麻雀パラドックス31局へ続く。

 

 

 

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アミューズ
池袋駅から徒歩5分のフリー&セット雀荘